江別相続相談の部屋
~相続を争続としないために~
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相続ってなに?
遺産相続とは、 亡くなった人の財産(=遺産)を残された家族などが受け継ぐことで、誰がどのような方法で受け継ぐかはすべて法律で定められています。
ただし、法律の定めに関係なくすべて話し合いで決めることもできます。その方法が「遺言書を書いておく」「遺産分割協議を行う」といったこととなります。
しかし遺産相続の話し合いがどうしてもまとまらないときもあるでしょう。そのようなときにもどのような手順で解決していけばよいのか、いつまでにどんな手続きを終わらせなければいけないか、といったことも法律で定められています。
遺産相続は、すべて法律に定められているのです。
自分には相続させるような財産はないから関係ないとか、相続はお金がある人に関係のあることでしょうといったことを聞くことがありますが、そんなことはありません。
相続とは、
○誰かが死亡したら自動的に発生するものであり、金額の多い少ないではありません。
○相続の開始があったこと(被相続人の死)を知ったときから始まり、そんな法律は知
らなかった、ということは通用しません。
○プラスの財産もマイナスの財産(いわゆる借金)も保証人などの地位も、原則的には
すべてを受け継ぐのが相続です。
ですので、自分がどのように考えても、考えなくても、相続は自動的に発生します。
プラスの財産の例
○現金
○預貯金
○不動産(土地や家)
○自動車
○貴金属
○有価証券
マイナスの財産の例
○借金
○未払い税金
○未払い料金(公共料金、医療費
施設料金など)
○連帯保証などの身分的債務
誰が相続人となるの?
民法には相続人となれる者について規定があります。
①890条・・・被相続人の配偶者(夫又は妻)は、常に相続人となる。
②887条・・・被相続人の子は、相続人となる。
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなします。ただし、胎
児が亡くなって生まれた場合は適用されません。(民法886条)
③889条・・・被相続人の直系尊属(父母、祖父母)は、相続人となる。
④889条・・・被相続人の兄弟姉妹は、相続人となる。
子(第1順位)、直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)については、それぞ
れ上の順位の相続人がいない場合に相続人となります。(民法889条)
このように定められており、①から④までの相続人を「法定相続人」といいます。
また、被相続人の子や兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡、欠格事由に該当、若しくは廃除により相続権を失っている場合は、その子(被相続人の孫や甥・姪)が相続人とな
る。(民法887、889条)
このことを「代襲相続」といいます。
○相続人の欠格事由(民法891条)
・故意に被相続人又は先(同)順位
の相続人を殺害又は殺害しよう
として、刑に処せられた者
・被相続人が殺害されたことを知
っていたにもかかわらず、告発
又は告訴しなかった者
・詐欺または脅迫により、被相続
人が遺言をしたり、遺言の撤
回、取り消し、変更することを
妨げた者
・詐欺または脅迫により、被相続
人に遺言そをさせたり、遺言の
撤回、取り消し、変更させた者
・相続に関する被相続人の遺言を
偽造、変造、破棄または隠匿し
た者
○相続人の廃除(民法892条)
・相続が開始したときに相続人と
なるべき推定相続人が、被相続
人に対して虐待や重大な侮辱を
加えたとき、又はその他の著し
い非行があったときは、被相続
人はその推定相続人の廃除を家
庭裁判所に請求できる。
どうやって分けるの?
相続の方法も民法900条に「法定相続分」として規定があります。しかし、必ずこの規定の相続分に従わなければならないわけではなく、遺産分割協議や遺言書により変更することは可能です。特別何もない場合は、この法定相続分に従って分割します。
○配偶者及び子が相続人の場合・・・・・・配偶者2分の1、子2分の1
○配偶者及び直系尊属が相続人の場合・・・配偶者3分の2、直系尊属3分の1
○配偶者及び兄弟嶋氏が相続人の場合・・・配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
子、直系尊属又は兄弟姉妹が複数人いるときは、各時の相続分は等しくなります。
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となります。
法定相続人の確認と法定相続分の確認表
相続人が配偶者と子の場合
被相続人
(亡くなった方)
配偶者
2分の1
子①
4分の1
子②
4分の1
相続人が配偶者と直系尊属の場合
父
6分の1
母
6分の1
被相続人
(亡くなった方)
配偶者
3分の2
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
兄
8分の1
妹
8分の1
被相続人
(亡くなった方)
配偶者
4分の3
相続関係説明図ってなに?
相続関係説明図とは、亡くなった方(被相続人)の相続人は誰で、被相続人との続柄(関係)を説明する書類(図)になります。
相続が発生した際、必ず作成しなければならないわけではありませんが、あると色々な面で非常に便利です。
○何のために作成するのでしょう
相続関係説明図があると不動産の所有権移転登記や、預貯金口座の名義変更などの各種相続手続きに際して、取得し、提出した戸籍謄本等の原本を還付(返却)してもらえます。
相続の際の戸籍謄本等の書類は、相続人の人数などにより大量に必要になる場合があります。大量の書類を手続きの都度取得していたのでは、取得費用も時間も無駄にかかってしまいます。
そのようなときに相続関係説明図を作成し、各種相続手続きを行う機関に提出すると、戸籍謄本等の原本を還付してくれるというわけです。
しかし、この相続関係説明図を提出しても戸籍謄本等の原本は一時的に提出しなければならず、各機関からの還付があってからでなければ次の機関の手続に進めません。
例えば預貯金口座をいくつも持っていた場合、1つずつ手続きを進めなければなりませんので、多くの時間を必要とします。そのようなときは、「法定相続情報証明制度」を利用することをお勧めいたします。
○相続関係説明図を作成するために必要な書類は
◇被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本および改製原戸籍
◇相続人全員の戸籍抄本または戸籍謄本
◇相続人全員の戸籍の附票または住民票
これらの書類は、相続関係説明図の作成のためだけに用意するわけではなく、相続手続きで必要になる書類です。
相続人の住所は、戸籍の附票や住民票に記載されている正確な住所で記載しなければなりません。
○法定相続情報証明制度
2017年5月29日より「法定相続情報証明制度」という制度が開始されています。
この制度により作成された、認証文つき法定相続情報一覧図の写しを各手続き機関に提出をすれば、戸籍謄本等の提出を省略できます。一覧図の写しは、無料で必要な通数の交付を受けることができますので、複数の手続き機関がある場合でも、手続きを同時に進めることができます。
法定相続情報証明制度につきましては、「法務省のホームページ」をご覧ください。
○戸籍謄本等の収集方法
◇自分で収集する場合
まずはじめに被相続人が死亡したときの本籍地の役所で集められるすべてを取得しま
す。それで出生まで取得できればよいのですが、別の市区町村(別の都府県を含む)か
ら転籍している場合は、前の市区町村役場で転籍前の戸籍を取得します。そこの市区
町村にも転籍してきている場合は、その前の市区町村役場で取得します。
このように、取得した戸籍謄本等を基に被相続人の出生(から死亡)までの戸籍を収
集します。
被相続人が生まれてから死亡するまで、同じ市区町村に居住していた場合は同じ役所
で全てが揃うので比較的簡単ですが、多くの方は複数の市区町村に移動している場合
が多いので、複数の役所で戸籍を取得しなければなりません。
戸籍の取得は、郵送でも可能ですが、古い戸籍は手書きなので見方に慣れていない方
や十分な時間が取れない方は、行政書士等の専門家に依頼することをおすすめいたし
ます。
◇専門家に依頼する場合
「自分で収集する場合」にもあるように、被相続人の出生から死亡までのすべての戸
籍を集めるのは、結構大変なので戸籍の収集を相続の専門家に依頼する人も多くいま
す。
専門家に依頼する場合は、戸籍の収集だけでなく、相続関係説明図の作成、遺産分割
協議書の作成などの相続手続きと併せて依頼することが多いでしょう。
各専門家によって、行える業務や得意な業務があると思いますので、事前に確認するとよいでしょう。
※実際の相続関係説明図は文字のみです。
法定相続情報証明制度の利用方法
○申出(法定相続人又は代理人)
①市区町村の窓口で戸除籍謄本等を収集し
ます。
②法定相続情報一覧図を作成します。
③所定の申出書に記載し、①及び②の書類
を添付して法務局(登記所)に申出をしま
す。申出は、法定相続人又は代理人がす
ることができます。
○確認・交付(登記所)
①登記官による確認、法定相続情報一覧図
の保管。
②認証文付き法定相続情報一覧図の写しの
交付
戸除籍謄本等の返却
○利用
各種相続手続きの際、関係機関に提出等し
て利用。
(戸籍の束の代わりに各種手続きにおいて
提出することが可能です。)
※戸除籍謄本等の収集や一覧図の作成は、行
政書士等の専門家に依頼することをお勧め
いたします。
遺産分割協議
遺産分割協議を行う理由は、協議の内容をまとめた書面(遺産分割協議書)がなければ、被相続人(亡くなった方)の財産の名義を変更したり処分したりすることができないからなのです。
被相続人名義の土地や建物の名義を変更するにも、預貯金を引き出すにも、その他の多くの手続きを行うにも、遺産分割協議書を提出するように求められるのです。
ただし、遺言があり遺言に分割方法が記載されている財産については、遺産分割協議を行わなくても構いません。遺産分割協議書の代わりに遺言書を添付すれば、ほとんどの場面で手続を進めることが可能です。
遺産分割協議は、必ず相続人全員で行う必要があります。相続人の中に会った事のない親戚がいても、万が一愛人との間にできた子供がいたとしても、それらの人を含めた全員で協議する必要があります。
一部の相続人を加えずに協議を行った場合は、協議自体が無効となります。知らなかった相続人が協議後に現れた場合や、実は相続人ではなかった人が加わっていた場合も無効なものとされてしまいます。
なお、遺産分割協議がまとまった後でも、相続人全員の合意があればやり直すことも可能です。ただしその場合は余計な税金を支払う必要が生じるおそれなどがあるため、専門家に相談してから行うことをお勧めいたします。
遺産分割協議はどうやって進めたらいいの
遺産分割協議の進め方ですが、亡くなった方の遺産の調査結果を一緒に確認しながら話し合いをして遺産の分配方法を決める、ということになります。
しかし、相続人それぞれが忙しかったり遠方に住んでいる人がいたり、または疎遠になっている人がいたり、一度も会った事がない人がいるかもしれないなど、様々な事情があって全員が一堂に集まることは難しいことが多いです。
そのようなときは、相続人やその関係者のうちで中心になれる人(相続人の代表者)が全相続人の意見を聞きながら財産の分配方法を決めていくというやり方でも構いません。その際は、各相続人に対して遺産の内容や分割方法などについてしっかりと説明し、確認を行い誤解などがないようにきちんとしなければなりません。これを怠るともめ事になってしまい、後で協議のやり直しや裁判になる危険があります。
また、遺産分割協議は遺産分割方法について全相続人の合意が得られればよいので、電話やメールを使って行っても問題ありませんが、後で「言った言わない」となることのないようにメールや手紙などの記録を残しておくことをお勧めいたします。万が一話がまとまらなければ、家庭裁判所に申し立てて遺産分割調停・遺産分割審判という手続きを行うこととなります。
遺産分割協議書
遺産分割協議を行い全相続人で決定した遺産分割案ですが、これは書面にする必要があります。預貯金や不動産をはじめとする各種権利の名義変更の際に添付を求められることが多いですし、遺産分割協議の結果をあとで確認・証明できるようにしておくためにです。
作成の方法ですが、パソコンのワープロソフトで協議の結果を文書にし、A4用紙に印刷すればそれで完成です。縦書きでも横書きでも、どのような言語やフォントを使用しても構いません。
ただし、相続人全員の名前と住所を記載しそこに相続人それぞれが実印を押し、印鑑証明書を添付することが必要となりますのでご注意ください。名前と住所は印鑑証明書に記載されているとおりに記載しますが、手書きでも印刷でも構いません。協議書が複数枚になった場合は、忘れずに相続人全員が協議書の合わせ目に印鑑を押印して下さい。
これで遺産分割協議書は完成です。
まとめ
相続関係説明図や遺産分割協議書の作成や法定相続情報証明制度の利用には、被相続人と相続人全員の戸籍謄本等が必ず必要となります。
実は、最も時間がかかったり煩雑なのが戸籍の収集なのです。
戸籍の収集には、専門的知識は必要ありませんが、古い手書きの戸籍を読解しなければならなかったり、どこから転籍してきたのかを理解したりしなければならず、遠くの市区町村にある場合などは、郵送にて請求しなければならないなど、慣れていない方には時間もかかりとても大変な作業です。
その点行政書士などの専門家は、それらのことには慣れていますので、時間も労力ももしかすると経費(郵便代など)も少なくて済みます。
中には、自分でやってみたけど途中で断念したという方もいらっしゃいます。そうなるとそこまでのご自分の労力や時間がもったいないこととなります。
相続に関する各種手続きは、是非行政書士などの専門家にご依頼ください。
相続は、財産の多い少ないに関わらず誰にでも発生するものです。
そして相続が発生すると様々な手続を定められた期間内に行なわなければなりません。
相続の手続き以外にも非常に多くの手続きが必要です。(主な手続)
ご家族の負担を軽減するためにも、事前の準備は早いうちにしておくことをおすすめいたします。