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遺言執行者について

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)とは?

遺言が執行されるときには、遺言者はお亡くなりになっていますので、自らで遺言内容を実現させることは不可能です。

遺言執行者は、そのようなときに遺言者の遺言内容を確実に実現するため、各種手続き等を行う人のことです。

遺言執行者にはなれる人は?

遺言執行者には、未成年者や破産者を除いてどなたでもなれます。もちろん相続人や受遺者でもなることは可能です。

しかし、遺言の執行には手続きが煩雑であったり、専門的な知識が必要となる場合がありますので、不慣れな方には大きな負担となることが考えられます。

また、相続人や受遺者の一人が遺言執行者となると、他の相続人などから不満が出たり、あらぬ疑いをかけられたりと無用なトラブルの原因となることもあります。

そのようなことを避けるためにも、利害関係のある親族などを選ぶよりは、行政書士などの専門家に依頼することをお勧めいたします。

遺言執行者って必要なの?

遺言執行者は、必ず選任しなければならないのかというとそうではありません。遺言執行者が必ず必要な場合とそうでない場合があります。

◇遺言執行者が必要な場合

・遺言で子の認知がされた場合

・遺言で推定相続人の廃除がされた場合

・遺言で推定相続人の廃除の取消しがされた場合

・不動産の遺贈を受けた場合で

 ①そもそも相続人がいない場合

 ②相続人が所有権移転登記手続きに非協力的な場合

以上の場合には、必ず遺言執行者が必要となります。

その他の場合には遺言執行者は不要ですが、遺言により不動産や預貯金の遺贈や分割方法が指定されている場合には、相続人がその手続きを実行することとなります。前述しましたが、手続きが煩雑であったり、相続人間のトラブルを防ぐためにも、遺言執行者を選任しておいて方がよいでしょう。

遺言執行者はどうやって選ぶの?

遺言執行者の指定は、必ず遺言でしなければなりません。ただし、遺言執行者の指定を第三者にお願いするという内容の遺言を書くこともできます。

遺言で遺言執行者が指定されていない場合や指定されている遺言執行者が就任しない場合は、相続人などの一定の利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てをします。

相続人の負担を減らすためにも、遺言で遺言執行者を選任しておくとよいでしょう。

​しかし、指定されていた遺言執行者が亡くなってしまっていたり、就任を拒否する場合もあるでしょう。そのようなことを想定して、別の遺言執行者を予備的に指定することもできます。

遺言執行者の職務と執行方法

遺言執行者として指定され、就任した場合は概ね次のようなことを行います。

​○遺言執行者への就任を承諾し、就任したことを相続人及び受遺者全員に通知します。

○戸籍等の証明証を収集し相続人を調査します。

○相続財産を調査し財産目録を作成して、相続人及び受遺者に交付します。

○相続財産の名義変更(所有権移転)や預貯金の解約などの手続きを行います。

○この認知の届出や相続人の廃除の申立てを行います。

​○相続人と受遺者全員に完了報告を行います。

遺言執行者の権利

○費用償還請求権

 遺言執行に要した費用の償還(返還してもらうこと)を請求できます。

 遺言執行に関して遺言執行者が立替払いをした費用は、相続人や受遺者に対して

 清算を求めることや、支払う前であれば支払うよう求めることができます。

○報酬請求権

 遺言執行という業務に対する報酬を請求できます。

 報酬は遺言の中で定めることができますが、定めがない場合は、遺言執行者が家

 庭裁所に申立て、報酬額を決定してもらいます。

遺言執行者の権利としましては、上記の2点となります。

◇費用や報酬の支払方法

 法律などに特段の定めはありませんので、遺言執行者と相続人や受遺者の間で決

 めて構いません。

 費用が発生する都度清算をする方法、着手金といった形で発生前にあらかじめ受

 け取っておき、最終的に生産する方法、着手金なしで最後に報酬と併せて清算す

 る方法などがありますが、手間がない方法としては、遺言執行者が相続人や受遺

 者に遺産を引渡す際に、費用と報酬を差し引いて引渡すことにより清算する方法

 がよいかと思います。​

遺言執行者の義務

遺言執行者には、前述の権利がありますが、もちろん義務もあります。

遺言者(被相続人)の大切な遺産を扱うのですから、遺言者や相続人、受遺者の意に反した取扱いをしないよう当然のことです。

○善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)

 遺言執行者が、遺産の管理を怠るなどの行為により遺産を減らしてしまうなどの

 損害を生じさせた場合は、相続人や受遺者に対し、その損害を賠償しなければな

 らない義務があります。

​○目録作成義務

 目録を作成し、すべての相続人と包括受遺者に対し交付する義務があります。

○報告義務

 相続人や受遺者に求められたときは、遺言執行の状況を報告しなければならない

 義務があります。

 また、遺言執行が完了したときには、その経過と結果を報告しなければならない

 義務があります。

○引渡し義務

 遺言執行に際して受取った財産を相続人や受遺者に引渡さなければならない義務

 があります。また、相続人や受遺者の名義で取得した権利なども引渡さなければ

 なりません。

○補償義務

 相続人や受遺者に渡すべき金額を自らのために使用した場合は、使用した日以降

 の利息を支払わなければならない義務があります。損害が生じている場合は、そ

 の損害を賠償しなければなりません。

​ 引渡しや補償の義務は、自分の財産を扱っているわけではないので当り前のこと

 です。

遺言執行者の報酬

遺言執行者の報酬は、遺言に記載がある場合はその額になりますし、記載がない場合は家庭裁判所に決めてもらうこととなります。

​あまりに低額であれば就任を拒否されてしまうと考えられますので、遺言執行者の候補者としっかり話し合いをした方がよいでしょう。

遺言執行者を定めておくことは大切です。

誰を執行者とするのかについては、遺言が執行されたときのことをしっかりと考えなければ

残された方々の負担が大きくなってしまいます。

☎ 011-311-1620

​受付時間:平日9:00~19:00 

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