法定後見制度
☆対象
認知症、知的障がい、精神障がい等により判断能力が減退した方
☆手続き
申立人(四親等内の親族、市町村長など)による申立手続きに基づ
き、家庭裁判所が法定後見開始及び法定後見人決定の審判を行い
ます。
判断能力の程度により3つの類型に分類されています。
●補助~判断能力が不十分な場合
●保佐~判断能力が著しく不十分な場合
●後見~判断能力を欠く場合(最も制限されています)
申立の際に、どの類型に該当するのかを含めて申立を行い、医師
の診断書等により、最終的には家庭裁判所が類型を決定します。
☆法定後見制度の類型
認知症、知的障がい、精神障がいなどによる判断能力の程度によ
り、最も判断能力が制限されている後見から補助までの3類型に
分けられています。
申立てにあたりどの類型とするかは、申立人の依頼により作成さ
れた医師の診断書によります。
何れの類型においても被後見人等は、被知用品の購入その他日常
生活に関する行為(民法第13条第1校但書)は単独で行うことがで
きます。
また身分行為(婚姻、認知、嫡出否認等)、医療行為の同意等の一
身専属的な行為は代理権の対象とはならず、遺言も代理の対象と
はなりません。
①後見「精神上の障がいにより事理を弁識する能力を欠く常況にあ
る者」(民法第7条)
●本人が事理を弁識する能力を欠く常況(判断能力が全く無い)場
合、つまり、自らの行為の結果について合理的な判断ができ
ず、自己の財産を管理・処分することができない状況が該当し
ます。具体的には、金銭管理や日常的に必要な買い物も自分で
はできず、誰かに代わってやってもらわなければならない場合
です。
後見人は、日常生活に関する行為(簡単な買い物等)を除き、全
ての法律行為に関する取消権・代理権があります。
②保佐「精神上の障がいにより事理を弁識する能力が著しく不十分
である者」(民法第11条)
●本人の判断能力が著しく劣っていて、事故の財産を管理・処分
するには、常に援助が必要である状況が該当します。
具体的には、日常的に必要な買い物程度は単独でできるが、重
要な財産行為(不動産や自動車の売買、自宅の増改築、金銭の貸
し借り等)は、自分ではできないという場合です。
保佐人は、重要な取引行為(民法第13条)に関して、同意権・取
消権があります。
※民法第13条 1 元本を受領し、又は利用すること
2 借財又は保証をすること
3 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪
を目的とする行為をすること
4 訴訟行為をすること
5 贈与、和解又は仲裁合意をすること
6 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をす
ること
7 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担
付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を
承認すること
8 新築、改築、増築又は大規模修繕をすること
9 第602条に定める期間を超える賃貸借をするこ
と
上記民法第13条以外の行為についての同意権・取消権の設定及び
代理権の設定には、別途家庭裁判所による同意権・取消権の拡張
及び代理権付与の審判が必要となります。
③補助「精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分である
者」 (民法第15条第1項)
●本人の判断能力が不十分で、自己の財産を管理・処分するに
は、援助が必要な場合がある状況が該当します。
具体的には、重要な財産行為(不動産や自動車の売買、自宅の増
改築、金銭の貸し借り等)について、自分でできるかもしれない
が、本人のためには誰かに代わってやってもらった方が良いと
いう場合(認知症の症状が出たり出なかったりの状態)。
補助人は、家庭裁判所の審判により、民法第13条第1項に定め
られた行為の一部(特定の法律行為)について同意権・取消権、
代理権があります。
法定後見開始までの標準的な流れ
手続相談
管轄の家庭裁判所後見係で手続相談
申立ての手引き、必要書類一式を受領
(ホームページで入手できる家裁もありますが、家裁ごとに書類が異なりますのでご注意ください)
電話予約
家庭裁判所によっては、電話予約が必要となる場合があります。
概ね2週間後になります。
書類提出
家庭裁判所後見センター(又は書記官室等)に申立て書類一式を提出。
申立て書類一式の提出(申立て)を行う
と取下げることはできません!
※即日事情聴取が行われる場合には、申
立書内容につき、申立人、後見人候補
者から事情確認が行われます。
精神鑑定
主治医が鑑定を引き受けている場合には、直ちに鑑定手続きに入る。
(植物状態、補助申立以外は原則鑑定を行う)
親族調査
本人の親族(推定相続人)に対し、書面により申立ての概要と後見人候補者等を伝え、意向を確認する。
本人調査
診断書の内容から本人に対する調査が可能な場合、家庭裁判所調査官が本人と面会する。
審 理
申立書、鑑定結果、本人及び親族の調査結果を総合的に判断
審 判
①後見等の開始 ②後見人等の選任について決定されます
審判書謄本が申立人、後見人等に送付されます
標準的なケースであれば、申立てから審判までの期間は、2~3か月ほどです