死後事務委任契約とは
お元気なうちに、ご自身が亡くなった後の葬儀や納骨・埋葬、家財道具や日用品の処分などを第三者に委託しておくことです。
「死後」という言葉からあまり良いイメージを持ちにくく、相談することもなかなかできないかもしれません。
しかし、こう考えたらどうでしょう。
「自らの死後のことをきちんと決めておけば、不安が解消され、安心して暮らすことができる」と。
どんなことをしてくれるの
○死亡に関すること
●ご遺体の引き取り
●死亡診断書の取得、
●死亡届けの提出、親族の方へご連絡
○葬儀に関すること
●通夜、告別式、火葬、納骨など
○生活に関すること
●家財道具や日用品の処分
●居住物件からの退去手続き
●施設や病院からの退所・退院手続き
○債務の弁済
●医療費や施設等の利用料
●介護サービス利用料等の清算支払い
●公共料金等の清算支払い
○官公署等への諸手続き
●年金関係等の各種届出
●官公署や所属団体等への届出
どんな人が利用できるの
「こういう人でないと利用できません」ということはありませんが、一般的には以下のような方が主にご利用されます。
○身寄りのいない人
○法定相続人がいない人
○法定相続はいるが疎遠な状況の人
死後事務委任と遺言執行との違い
死後事務受任者と遺言執行者のどちらも、亡くなった方のために各種手続きを行うといった意味では同じですが、遺言では財産承継についての記載しかすることができません。不動産は誰へ相続させるとか、預貯金を誰へ遺贈するとか、遺産の承継先を決めておくのが遺言です。そして、遺言執行者は、遺言で定められた承継についてのみ手続を行うことができます。
しかし死後事務委任は、契約に基づく行為なので自由に取り決めることができます(財産承継以外のことに限られます)。
葬儀はどこで行うとか、埋葬の方法を希望するとか、お墓はこうしたい、ペットは誰々にお世話してほしいとかを自由に決めておくことができます。
財産承継もそれ以外のことも全てしっかりと決めておきたいと考えるならば、遺言と死後事務委任の両方の公正証書を作成しておくことが望ましいといえます。
もし、誰も頼る人がいないというのなら、遺言と死後事務委任についてセットで第三者の専門家(司法書士や行政書士など)へ依頼をしておけば、自分の死後について不安なく、安心して暮らすことができるはずです。