任意後見制度
☆対象
判断能力に問題がなく、契約の内容が理解でき契約の意思がある方。
☆手続き
判断能力が減退した際の任意後見人(任意後見受任者)と代理権等の契約
内容を決定し、公証役場において公正証書で契約をします。
☆任意後見制度の3つの類型
任意後見制度は、本人との契約内容により3つの類型があります。
①即効型・・・契約締結後、直ちに任意後見監督人選任審判
本人の判断能力が若干低下しているが、まだ意思能力はあるという段階
で、任意後見契約を締結し、直ちに家庭裁判所に任意後見監督人の選任申
立てをし、同契約を発効させるタイプです。
※即効型というイメージとして、契約すればすぐに利用できるという印象
があるかもしれませんが、任意後見契約を発効させるためには、家庭裁
判所に申立てをして、任意後見監督人を選任してもらいます。
通常、任意後見受任者(本人と契約した相手)が申立てを行いますが、
任意後見監督人の選任には、2~3か月を要します。
※即効型は、既に本人の判断能力が低下している状態で契約を行い、時間
をおかず任意後見監督人選任審判の申立てをするため、契約そのものが
有効かどうか(本人に意思能力があったどうか)が問題となることがあ
ります。そのため、精神鑑定に時間を要したり、契約自体が無効とされ
る恐れがあります。
②将来型・・・契約締結後、判断能力が衰えてきた際、任意後見監督人選任
審判
本人に十分な判断能力がある間に任意後見契約を締結し、その後本人の判
断能力が不十分となった時点で、家庭裁判所に申立てをし、任意後見監督
人を選任してもらい、契約を発効させるタイプです。
※将来型では、任意後見監督人の選任まで2~3か月要することで、その
間の委任者(本人)の保護に不安があることや、契約から選任審判申し
立てまでの期間に、委任者と受任者の関係が悪化したり、疎遠になった
り等の事由により、契約が発効できない事態が生じる恐れがあります。
③移行型・・・生前事務委任契約(見守り契約)、任意後見契約の2本立て
で成立
認知症などによる判断能力の低下が発生するまでの間、本人の財産管理等
を行う事務委任契約(委任契約、委任代理契約等)と任意後見契約をセッ
トにして契約するタイプです。
※移行型では、契約締結後、本人の委任代理人として、代理権目録に基づ
く業務や見守りを行います。業務に関する状況については、3~4か月
ごとに本人に対し報告します。
任意後見監督人が選任された後は、任意後見人として代理権目録に基づ
いて業務を行います。業務の執行と会計に関する状況については、任意
後見監督人に対して報告します。必要に応じて、死後事務委任契約を併
せて締結する場合もあります。